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グッド・モーニング



わたしの耳がもっとよければなあ、と
答えない青空に再び別れを告げて
もともと喋るつもりはない夜空へ今夜も貢ぎにいく
いってらっしゃい
くらい言ったらどう?


わたしは「わたし」として愛された記憶はないのよ、と
無関心な部屋の空気に話しかける
入れ物なんだから仕方ないじゃない
諦めたように窓際に置いてある花瓶が口を挟む


ただいま
未だ低い空に呟く
答えないのは知ってるんだけど、言わせてよ
玄関で服を全部脱いでシャワールームへ向かう
鏡に映った女は当然
わたしじゃないのよ
鏡が作った わたしと正反対の絵なのよ
鏡を割ろうとする前に耐え難い吐き気に襲われるのだ
そんな毎朝


グッドモーニングだなんて
どれだけ思いやりがない言葉かしら
わたしの朝は胃液とともにやってくるっていうのに


濡れた肌は拭かないで裸でベランダに出る
さっきよりおそらく少しは高くなった空
できるならあなた、止まってちょうだい
そうして再び言う、ただいま
あなたの表情は変わらない、横に伸びたままで朝陽が眩しい
仕方ないから言う、グッドモーニング
そうしたら、どこかで小鳥が微かに鳴いて
あなたは表情を変えないで、また少し高くなる
ベランダの下の道路を自転車が通って
犬が車道を渡る
今日が動く
が、返答はなくて今朝も
わたしの耳がもっとよければなあ、と
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by sheru19 | 2007-08-18 22:51 |  

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