ノスタルジックに



きれいな絵画があったなあ、と思ったら
固まった夕焼け空だった
その表面をおもいっきり叩いたなら
柔らかいだろうという想像を裏切って
カチコチに硬いのかもしれない
あたたかな色の奥に、それくらい冷たい意識を感じるから



湿度が低くなってきて寂しい
夜風が冷たくなってきて寂しい
そんな季節が今年もやってきたのだから
無作為に絡まった昔の記憶を少しずつ
震える指で掬い上げていい時期だ
思いは、熱を失ってまだ、どこかで厭な温さを抱えているものだ



もうどうでもいいと
世界など終わってしまえと呟く人ほど
きっと世界についてよく知っていて
きっとどこかでそれを好いているのだ
諦めなどなかなかできない
冷たい夜空の中へなど無論、希望を捨てることなどできない



部屋を抜ける風が心地好い
中途半端なわたしの体温を冷ましては
不気味な思いの温さの上を、爽やかに撫でていく
どうしたら忘れられよう、と
昔のひとの顔を思い浮かべては
この夕焼け空が消えぬことには
そのひとはずっとわたしの無機質な胸のなかの
不透明なガラスに映り続けるのだろう、と







                                          しぇる



*初出。久しぶりに新しいモノが書けた。
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by sheru19 | 2007-09-24 10:38 |  

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