カテゴリ:詩( 20 )

 

私の夏

愚鈍な容れモノからの解放を
一体ダレがしてくれるのか
妖艶に壊れた夏の夜風か
グロテスクなほどに青い空を
奇怪に旋回する黒い鳥か
空間を寸断する変則的な機械音か

愚鈍な容れモノからの解放を
一体ダレがしてくれるのか
見えなくなった目が此処にあるが
本当に其れは何かを見ていたのか
現実は唯々真っ暗な淀み
其れだったのではないか

朦朧とする意識はあるのか
蝉の声が心地好い
呆然とする奇跡は誰のか
蝉の声が心地好い
黒に塗れて闇から取り残されて
背中の方からいつの間にか重くって
頭はもう、そこにはなくって
私の体があそこにあって
この意識は空の上へ持っていかれて
あなたはそんな容器に向かって
愚問を唯々繰り返す

愚鈍な容れモノからの解放は
結局誰もしてくれない
私の物質が壊れても
それでも尚、何かに従属させられる
蝉の声が心地好く
線香の煙が陽炎のなかうねる
[PR]

by sheru19 | 2008-08-16 13:55 |  

都会の雑踏の景色


群像がもり上がっていく

光が私をえぐっていく

立ち上る煙が目にしみて

朝日はなんだか誰のことも

応援しているようではなかった

こんななら

くもりか雨がよいのだが

それともずっと、夜は明けなければいい

私の呼吸はどこへやら

無益に飛んで、吸い込まれ

雑踏の中を明日よりも

力強く、這っていく
[PR]

by sheru19 | 2008-04-11 01:13 |  

milk

夜の闇が割れたような気がした
中から漏れてくる薄い白い光は
遠い昔
小さな町の
小さな電車に揺られながら見た
夕陽の一角が乱反射したものだった



暑くない夏が
どこか居心地がよく
僅かに溢れ出した新しい世界の
懐かしい匂いを嗅いでいる
次の言葉は何であっても
楽しいときがあるのだ



だから静脈のなかを行きたい
不安定な光に支えられながら
今日も巡ってゆく新世界
わたしの言葉が此処にあって
あなたの心が傍にあって
慣れないキスはしないほうがいくって
明日のページを捲る



リズミカルに夜を渡って行く
星は見えないけれど明るい
明日を作るのはわたしかもしれないけれど
遠い昔の夕陽が甦ってくるように
質感のない
やわらかい日常の後に
誰かと渡る橋があれば
そんなふうに天の川も見る








-------------------------------------

これもまた季節はずれな・・・
[PR]

by sheru19 | 2007-12-13 10:15 |  

ラブレター



日常が機能してくれないと
現実なんてぼやけてしまう
曖昧な表情でしか生きていけないくせに
どこかでイエス・ノーをはっきりさせたいの


薄い桜色した便箋には
やっぱり、湿度の低い青空がよくお似合い
ひとの「想い」とは裏腹に
空想は字の如く、軽い


あなたらしく生きよう、と
思いのままに生きよう、と
そんな言葉をくれたひとが
ホントはどうか、なんて要らない


あなたのメールアドレスなど知らない
不器用なあたしは、薄いグレーの便箋に文字を綴ろう
「変しい、変しい・・・」とわざと書いたら
あなたは笑って、くれるだろうか


薄いグレーの便箋
青い空に映えない雨雲
あたしの小さな桜色の恋
湿度の高い部屋でぽつり





---------------------------------

いつだか企画で書いたもの。たぶん春に似合うのだろうけど、気になったからアップ。
やっぱりこの詩には「ラヴ」ではなく「ラブ」なのだ。

そういえば郵政民営化に伴って年賀状事業を色々工夫しているみたいだけれど、書く人増えるのだろうか?
手紙は、偶にもらうと好い。ぐっとくる。
[PR]

by sheru19 | 2007-11-05 22:40 |  

ノスタルジックに



きれいな絵画があったなあ、と思ったら
固まった夕焼け空だった
その表面をおもいっきり叩いたなら
柔らかいだろうという想像を裏切って
カチコチに硬いのかもしれない
あたたかな色の奥に、それくらい冷たい意識を感じるから



湿度が低くなってきて寂しい
夜風が冷たくなってきて寂しい
そんな季節が今年もやってきたのだから
無作為に絡まった昔の記憶を少しずつ
震える指で掬い上げていい時期だ
思いは、熱を失ってまだ、どこかで厭な温さを抱えているものだ



もうどうでもいいと
世界など終わってしまえと呟く人ほど
きっと世界についてよく知っていて
きっとどこかでそれを好いているのだ
諦めなどなかなかできない
冷たい夜空の中へなど無論、希望を捨てることなどできない



部屋を抜ける風が心地好い
中途半端なわたしの体温を冷ましては
不気味な思いの温さの上を、爽やかに撫でていく
どうしたら忘れられよう、と
昔のひとの顔を思い浮かべては
この夕焼け空が消えぬことには
そのひとはずっとわたしの無機質な胸のなかの
不透明なガラスに映り続けるのだろう、と







                                          しぇる



*初出。久しぶりに新しいモノが書けた。
[PR]

by sheru19 | 2007-09-24 10:38 |  

宇宙以外



マンションの23階
水洗トイレの水を流した
トイレットペーパーの行方なんて知れない


日が昇る前に家を出て
日が沈んでから帰ってくる
カーテンは閉めたままだから
いっそのこと地下23階の部屋が欲しい


地下室にひきこもる
時間などないから、僕が神になった気分だった
時間などないから、ここが宇宙以外に少し近くなった
神のホルマリン漬をオブジェにしよう


いつから世界はこれほど殺風景になって
理不尽なことが多く、孤独が居場所を失ったのだ
恒常的な愛と恒久的な孤独、どちらかを選べと言われら
もちろん後者を選んでもらいたいのに


「色のない孤独を想像したことはあるか?」
神のホルマリン漬にはそんなサブタイトルが付いていた
ふいに、死が眠りに形容されるから
自殺者が後を絶たないのだと感じた


僕が死んだら
地下23階に埋められるのだろうか
それとも、宇宙へ埋葬してくれるのだろうか
そんなものは遺された者の自己満足や悩みなのだろうと思って、僕は
意識を宇宙以外へ連れて行くのだ
[PR]

by sheru19 | 2007-09-14 13:47 |  

message from/for



「初めから終りを見ている」
    気だるい夜はいくつも越えられるわけではない
    そう言って、同じ月を何度か見たと思う
    遠い異国の血を悲しむ君を
    隣にいる僕はどう、抱きしめればいい
    数学の宿題ばかりが早く、片付いていった


「1+1=最後の声は何だっけ?」
    アイスクリームがもう溶けて
    短足な恋愛哲学を闇の中で振りかざした
    最終的に人を動かすのは
    不可思議な衝動であっていい
    だからもう一度聞きたい、最後の声を


「いつも、いつか別れが訪れるのだから」
    君の辛かった過去を知りたいだなんて思わない
    けれど、そんな経験があったろうことは受け止めたい
    だって、そうでもしなければお互い受容できやしない
    一時的に補完できやしない
    夏が早く終わればいい
    僕の隣で頭を冷やす何かがほしいから


「ねえ、明日あたしにもう会えないかもよ?」
    悲観的に考える癖が、左ももの肉離れの経験のようにある
    ちょっとした衝撃でスイッチが入ってしまう
    そしてそれは君を困らせ
    そんなセリフを期待している
    わからない毎日が多いのに
    明日が何かなんて想像もつかないでいる


「愛しているなんて言葉に出せない」
    適度な質感をもった普通の日々が重なった後に
    振り返る僕がいたなら
    それでもいいかと思えるようになれた
    そんな日にふいに
    思い出したメッセイジ
[PR]

by sheru19 | 2007-09-01 14:23 |  

グッド・モーニング



わたしの耳がもっとよければなあ、と
答えない青空に再び別れを告げて
もともと喋るつもりはない夜空へ今夜も貢ぎにいく
いってらっしゃい
くらい言ったらどう?


わたしは「わたし」として愛された記憶はないのよ、と
無関心な部屋の空気に話しかける
入れ物なんだから仕方ないじゃない
諦めたように窓際に置いてある花瓶が口を挟む


ただいま
未だ低い空に呟く
答えないのは知ってるんだけど、言わせてよ
玄関で服を全部脱いでシャワールームへ向かう
鏡に映った女は当然
わたしじゃないのよ
鏡が作った わたしと正反対の絵なのよ
鏡を割ろうとする前に耐え難い吐き気に襲われるのだ
そんな毎朝


グッドモーニングだなんて
どれだけ思いやりがない言葉かしら
わたしの朝は胃液とともにやってくるっていうのに


濡れた肌は拭かないで裸でベランダに出る
さっきよりおそらく少しは高くなった空
できるならあなた、止まってちょうだい
そうして再び言う、ただいま
あなたの表情は変わらない、横に伸びたままで朝陽が眩しい
仕方ないから言う、グッドモーニング
そうしたら、どこかで小鳥が微かに鳴いて
あなたは表情を変えないで、また少し高くなる
ベランダの下の道路を自転車が通って
犬が車道を渡る
今日が動く
が、返答はなくて今朝も
わたしの耳がもっとよければなあ、と
[PR]

by sheru19 | 2007-08-18 22:51 |  

イン・ラブ



呼吸は苦しいが しなければならなかった

沈んでゆく身体は 思いの外軽やかだった

私の目に映るのはブルー

意識の果にあるのもブルー

壁にかけられた淡い色の花の絵は

家を出るときに忘れてきたのだ

口をかたくふさいで 昨日とあなたを忘れた頃には

私は 丘の上で深呼吸をしているのだ

それは 日常のようでまた 私のからだが途絶えた後のよう





青空を吸い込み続けながら 朽ちたい

あたたかい海の規則的な冷たさのなかで果てたい

死は暗く重く また 愛も暗く思い

「冷たい」と呟いただろうか

いや 唇はあかく 血液はぬるい
[PR]

by sheru19 | 2007-08-10 09:54 |  

suiren




もう恋愛はお休みだと言った
不器用な手で
蓮の花を閉じようか
誰から否定されたわけでもなく
他でもない
あたしが否定するのだ





絶対零度の孤独は
存外生温いものであることに
多くの人が気づいていて当たり前な世界
それでいい、それがいい
そう、それが





雨粒が葉の上で踊ってから
花弁にそっと口づけをする
どんより曇り空の背景が
疑念を消し去るほど似合っていた





どうしたら明日が来て
どうしなかったら、明日はないのか
答が出ないまま
今日とも明日ともつかない毎日の
天気予報を書き続けている





もう、恋愛はお休みだからといって
明日の天気は変わるのだろうか
そして夜は来るのだろうか
あたしの視界は
極めていつも通りなのだけれど
[PR]

by sheru19 | 2007-06-23 08:23 |