黒の故障
2007年 05月 07日
窓から切り取られた空が
急に私たちの背中を襲った
楽譜から切り取られた音が
急に私たちの中からくつくつと毀れ始めた
黒い私が汚れていく
あっけらかんとした皐月の風とは裏腹に
黒が訴訟を起こし続ける
「キモチワルイ」という声は、本当に聞こえたのだろうか
黒も私を犯し続ける
まだ湿気を帯びない部屋の空気が
かえって私の癇に障った
黒い私が汚れ続ける
何になりたいのだろうか
何が雪を溶かしたのか
何が、あの奇麗な旋律を壊したのだろうか
音が私たちから乖離していく
壊した花瓶の破片を集めるように
壊れた心の破片を集めている
花を飾って、モノクロの
あなたが浚って、真っ黒の
数時間の沈黙の後
古い絵画のなかの手のように
私の手が病に脅かされていた
そしてこの侵食は終わらない
しぇる
by sheru19 | 2007-05-07 15:47 | 詩