ノスタルジックに
2007年 09月 24日
きれいな絵画があったなあ、と思ったら
固まった夕焼け空だった
その表面をおもいっきり叩いたなら
柔らかいだろうという想像を裏切って
カチコチに硬いのかもしれない
あたたかな色の奥に、それくらい冷たい意識を感じるから
湿度が低くなってきて寂しい
夜風が冷たくなってきて寂しい
そんな季節が今年もやってきたのだから
無作為に絡まった昔の記憶を少しずつ
震える指で掬い上げていい時期だ
思いは、熱を失ってまだ、どこかで厭な温さを抱えているものだ
もうどうでもいいと
世界など終わってしまえと呟く人ほど
きっと世界についてよく知っていて
きっとどこかでそれを好いているのだ
諦めなどなかなかできない
冷たい夜空の中へなど無論、希望を捨てることなどできない
部屋を抜ける風が心地好い
中途半端なわたしの体温を冷ましては
不気味な思いの温さの上を、爽やかに撫でていく
どうしたら忘れられよう、と
昔のひとの顔を思い浮かべては
この夕焼け空が消えぬことには
そのひとはずっとわたしの無機質な胸のなかの
不透明なガラスに映り続けるのだろう、と
しぇる
*初出。久しぶりに新しいモノが書けた。
# by sheru19 | 2007-09-24 10:38 | 詩